札幌南高13期東京同期会

  13期元気会の仲間の交流の場

ハイテクとローテクについて−管見による雑感 

 先日、このブログに紹介のあった「布絵展」を拝見して感じたことを含めての雑感です。

 現代はハイテク(先端技術)が、我々の生活の利便性を向上させています。発展・進歩するのは、本当に、人間にとって良いのかどうかは議論のあるところですが、価値観の転換をせまる大きな問題なので、別の機会に譲りたいと思います。
 少し古い話になりますが、産業のコメと言われている半導体で、日本が世界の市場を席捲していた頃に、半導体の製造装置を造る工場を訪ねたことがあります。精度の高い装置ということで、ミクロン(千分の1mm)オーダーからサブミクロン(1万分1mm)オーダーの世界における微細精密加工技術を誇らしげに語っていました。加工するためには基準になるものが必要です。製造装置で半導体をミクロンオーダーで造るのはわかりますが、この装置を造る基準(基線)はどうしたのですかと質問したところ、その基は熟達の職人さんが時間をかけ、手作業の研磨で鏡面のような平面をつくっているとの答えがありました。その場所をぜひ見学させて下さいとお願いしたところ、そこだけは企業秘密ということで、丁重に断られました。そのとき、微細な精密加工が要求されるハイテク機器は職人さんのローテクが支えていることを知り、当時は新鮮な驚きでした。現在、ナノオーダー(1nm=10億分の1m、分子や遺伝子であるDNA*程度の大きさ)の超微細精密加工の世界に突入しつつあります。状況は想像がつかないほど変わっているのでしょう。ご存知の方はご紹介頂ければと思います。
身近なハイテク機器の代表選手の一つに携帯電話などが挙げられるかと思います。登場した当初は、大きく重くショルダーバッグのように肩からぶら下げておりました。今では、掌サイズの小型になっただけでなく、多機能になり、ひところのスパイ映画に出てきた特別な無線機をはるかに超える機能を有しているようです。これもやはり先端技術のビッシリ詰った微細な精密加工で成り立っているようです。量産では製造装置が活躍して、一見、人との関わりが見えないので、深いところで人間の技術、匠のわざが生きていることを忘れがちになります。
一方、手づくり(ローテク)の製品、美術作品などはつくり手の温もりを感じます。過日、志野焼きの陶器から青白磁に中心をおいて活動している教え子の個展を見に行って来ました。陶磁器の作品は全くの手づくりの暖かさと奥の深さに触れることが出来ます。また、ドイツの大学のハートセンターで行われた心臓手術を、TV会議システムを利用して、Laiveで2〜3度見たことがありますが、外科医の手さばきには、「匠のわざ、神の手」を真っ先に連想しました。ローテク代表の職人のようなこの執刀医の手さばきの素晴らしさに感動さえ覚えました。一見、何の関係もないローテクがハイテクを支え活かしているということは、ハイテク時代に生きるものにとっては救いです。
最近、匠のわざのような感じに近いものを覚えたものに、同期の長沼君の奥様の布絵があります。そこには画家でもあり美術工芸職人が手がけたかのような緻密で温もりを感じる絵画の世界がありました。混ぜることの出来ない絵の具(古布)の選択からあるいは古布を見て作品の構想が浮かぶとのことをお聞きして深く広い世界を感じました。どの作品にも実物以上の味わいがありました。窓際にあった作品の一つの前に立った時、“鳥ねらう布絵の中の熟柿かな”と思わず句心が動きました。これは作品が語りかけて来たからに違いありません。会場のそこここに置かれた苔球盆栽も布絵展の雰囲気を見事に演出していました。
また、このブログで時おり紹介されるC.Gアート(早見さん)、版画(松宮君)、ボタニカルアート(井口君)の作品も同様で、つくり手の感性、創作意欲と経験に裏付けされたものを感じます。さらに作品を通じ、つくり手の想いを自分なりに感じることができます。(最近見かけませんが・・・。期待しております)
ハイテクの根底にはローテクがあることを再認識し、ものづくりの文化・伝統を我々の身近な存在として感じられるようにすることが、今後ますます大切になるのではないかと思います。(2組 鎌田)
*DNA:親と同じものをつくる遺伝子情報の符号が並んでいる繊維状の高分子で、あらゆる生物に
共通する生命の「設計図」を記述した化学物質。

  1. 2007/10/17(水) 05:00:00|
  2. 未分類
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コメント

緊張感ある手術

私の見た心臓の手術は術者の手の動きがわかるように真上にカメラを据えて遠隔医療教育の一環として特別に設定したもので、関係者でもなかなか見ることができないのではないかと思います。
「匠のわざ、神の手」と感じたのは生まれて初めてそれも心臓の手術を見た衝撃と無駄のない手さばき看護師や臨床工学技士らとのチームワークの見事さ、最初から最後まで息を呑むような緊張感の中でリアルタイムに進行したことへのいつわざる感想です。もとより、神の手なるものは存在しません。この方も大変な症例数をこなした上で到達したものであることは言うまでもありません。医師のたゆまぬ研鑚があってこそ我々の命が守られ、救われていることを見て、また、患者の気持ちと重なって「神の手」と感じたのかもしれません。(2組 鎌田)
  1. 2007/10/19(金) 16:44:23 |
  2. URL |
  3. #-
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“鳥ねらう布絵の中の熟柿かな”

この句の「鳥」について、最初思っていたのと状況は違うのかも知れない、と考えたりしながら愉しい時間を過ごしました。大変想像力を刺激されますし、また「布絵」という言葉が何ともいえない暖かみ、落ち着きを与えてくれます。どちらにも感謝したい気持です。9組小林

  1. 2007/10/19(金) 15:08:04 |
  2. URL |
  3. 小林 #-
  4. [ 編集]

手術

私の関係する整形外科の場合、「神の手」を必要とする手術は後生には残りません。基本的に手術は、ある程度の知識と技量があれば誰でもが出来るものでなければ伝わっていきません。科によっては「神の手」と言われるものがあるのかも知れませんが、ほとんどは多くの経験による知識に裏付けされたものだと思います。従ってその「経験による知識」が後年、教科書や文献に残され単なる知識として扱われるレベルになった時、その手術法は全ての術者が出来るものになり、後生に伝えられます。もちろん術者により手術の上手い下手はありますが、その佐は決して大きなものではありません。より重要なことは患者さんをきちんと診察し、手術の適応を間違えないことです。
  1. 2007/10/19(金) 13:17:40 |
  2. URL |
  3. 9組 藤田 #-
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